【映画レビュー】この映画、見ると危険【レクイエム・フォー・ドリーム/Requiem for a Dream】
レクイエム・フォー・ドリーム
レクイエム・フォー・ドリームは催眠術のような映画です。
未亡人の母サラとその息子ハリー、そしてハリーの友人タイと恋人マリオン。
それぞれが夢に向かって行く中、いつしか夢は悪夢に変わっていく。
この映画かなり狂気的です。
ダークな映画が好きな人はとても楽しめるでしょう。
ここが面白いと思った1
ストーリーも狂気的ですが、それと同じくらい印象に残るのがこの映像でしょう。
接写と素早いダイレクト・カットの迫力とリズムで画面に釘付けになること間違いなしです。
顔の一部だけでキャラクターの期待・快感・動揺・不安・恐怖などの感情を強く表現しています。
ハイになる表現は、瞳孔がカッと開き、画面を徐々にホワイトアウトして演出しています。
酩酊する表現の強烈さは、この映画かトレインスポッティングが頭一つ抜けて素晴らしいです。
エンディングはレクイエム・フォー・ドリームの方が圧倒的に暗いです。
人には簡単には勧められないのが痛いところです。
ここが面白いと思った2
他にも面白いなと思ったのは、画面を二つにスプリットする演出です。
特にこれをピロー・トークで使うのはかなり実験的です。
同じベットにいる二人をそれぞれ別れた映像で撮るのは面白いなと思いました。
いろいろな解釈ができるとは思いますが、僕は同じベッドにいても断絶された世界にいる二人として受け止めました。
その別れた世界にいる二人が甘い言葉を交換する。
二人の間に愛はあるがそれはうまく交わらない。
そう伝えているように感じました。
ここが面白いと思った3
母親役サラが面白い。
エレン・バースティン(Ellen Burstyn)の演技もかなり極まっている。
軽くサラのストーリーを書きます。
サラは未亡人で、息子思いの母親だ。
ごくありきたりな生活をしていて、同じアパート・メントの主婦仲間と親しくしている。
そんなサラのところに電話がかかってくる。
内容はテレビへの出演依頼だった。
それに喜び、同じ主婦仲間にテレビに出ることを伝える。
テレビ出演を息子に伝えたところ、イタズラだろうと一蹴された。
しかしサラには日々の生活を耐える為に夢が必要だった。
夢とまではいかなくても、自らを明日に運ぶ為に欲望が必要だった。
しかしいくら待ってもテレビ出演の実際的な話が来ない。
サラはテレビ出演時に着る赤いドレスの為にダイエットをはじめる。
しかしダイエットは思うようにいかず、医者に行き薬を処方していく。
勝手に薬の摂取量を増やし、狂気に落ちていく。
このサラの少しづづ狂っている感じがすごいです。
背筋が寒くなるような日常的な狂い方をします。
日常の中で一歩一歩、周りも気づかないうちにおかしくなっていきます。
ドレスを着るために食事を変えたり、きれいに見えるように髪を染めたり、別に誰だってやりそうなところから狂気の道に引き込まれて行きます。
終わりに
誰にだって欲望はあるし、執着もあります。
そんな平凡なところから始まり、狂気に引きずりこまれていきます。
それがこの映画の怖いところです。
そんな狂気に触れたい人にはおすすめの映画です。
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