人生のかわし方

【アメリカ生活】無職、妻の稼いだ金で車を買う

アメリカで車を買った

はじめに

それほど致命的に貧乏というわけではないが、出来るだけ安い車が欲しかった。
そもそも僕は運転が嫌いだ。

車に対しても愛着なんて沸いたことはない。
車なしで生活が出来るなら、無い方がいい。

しかしここはアメリカの片田舎。
車が無いと住むには大変だ。

車が無いと、仕事を探すのに弊害が出る。
妻は車でどこかに出かけたがっている。しかし公共交通機関なんて皆無だ。

とにかく安い車を

僕はいくつか中古のディーラーを回った。
でも予算オーバーで手が出せなかった。

僕らの予算は、2000ドルだった。
こんな金額じゃ車は買えない。

周りの知り合いに、「どうにか格安で車を買える方法はないか」と聞いてまわった。
掲示板(craigslist)とかFacebookのページでも車が買えるよ。そういう情報を得た。

そこならかなり格安で買える。

なかなか見つからない

車を買うと決めてから4週間ほど経った。
僕は買い物をするのに異常に時間がかかる。

15ドル5枚入りのパックTシャツを買うのには2ヶ月ほど決心に時間がかかる。
20ドルの電気シェーバーを注文するまでに半年ほどのリサーチが必要だった。

ドケチな僕に2000ドルは大金だ。
買うと決心するのに時間がかかる。

コストパフォーマンスという呪いにかかってなかなか決意が出来ない。

出来るだけ新しくて、走行距離が低くて、冬タイヤが付いている。
自分の中で条件を設定して探したが見合う物がなかなかない。

それに業を煮やした妻は、「なんでそんなに時間がかかるの」と苛立ち始めた。
正直、車探しは僕にとってもストレスとなり始めていた。

なるべく早く決めたい。僕は思考停止気味になり、パッと目についた車のオーナーに連絡を取り、約束を付けた。

車を買った

車は2004年のフォルスワーゲン。

昔のオーナーの趣向で、フルスモークで車高は低め、大きめのホイールを履いている。

「冷却液に少し漏れがあるが、すぐに直せるよ。それ以外は特に問題はない」
オーナーはこう言っていた。

一緒に試乗した時に、エンジンライトが点灯しているのに気がついた。
それを指摘すると、「センサーが壊れているだけだ。問題ないよ」と返事がきた。

値段は3000ドルだった。
予算オーバーだった。

車のオーナーはちょっと怪しい感じの人だった。ブレイキング・バッドのピンクマンみたいな雰囲気があった。

少し気になったが、とにかく早く決めたいという気持ちが強く、すぐに購入を決意した。

翌日、銀行から3000ドルのチェックを受け取り、再度オーナーに会った。

その時にチェックを彼に渡し、僕は車のキーを受け取った。
そしてそのまま運転して帰った。

人生ではじめて車を買った。
まさか自分が無職で、かつ妻の貯金で車を買うとは想像すらしてなかった。